新型シビックタイプRに試乗。バランスの良さと高い完成度、ドライバー中心の”ホンダスポーツ”の真髄が詰まっていた
掲載 carview! 文:編集部/写真:市 健治 130
掲載 carview! 文:編集部/写真:市 健治 130
ドアを開け、真紅に彩られたコックピットに収まりエンジンに火を入れる。短いクランキングから「ウォンッ」とVTECターボが目を覚ます。最もレーシーな「+Rモード」を選択すると排気音がより一層増幅される。猛々しくはないが、かといって大人しくはない。
クラッチを踏み、ギアを1速へ。サイドブレーキのレバーを…ではなく電制パーキングブレーキをスイッチで解除し、半クラからスルスルとクルマが動き出す。クラッチも軽く、スポーツモデル特有の気難しさは一切ない。これならば久しぶりにMTへと回帰したユーザーもすぐに勘を取り戻せるし、このクルマが初めてのMTだとしても難儀しないだろう。
完熟走行の後ちにバックストレートからアクセル全開。200km/hオーバーの世界まで、どこまでも淀みなくスムーズにトップエンドまで吹け上がる。”ピュアエンジンタイプR”の集大成として作られたこのエンジン、ドラマチックではないがフラットな出力特性が高いドライバビリティに直結する。
「ピピピ……」という音とともに目の前のレブインジケーターが点滅しシフトアップ。自然に手を伸ばした位置に配されたハンドルやシフトレバーなど、運転に集中できる環境が整っている。軽い力で吸い込まれるようにシフトが決まるのが気持ちいい。
エンジニアによると、最も力が入りやすい位置にミリ単位でレバー位置を調整したとのことだ。絶対的な速さではATに勝てないが、ホンダが”世界一”と豪語するそのシフトフィールを一度でも体感したら、クルマ好きならば「これだよ、これこれ!」と思わずニンマリしてしまうだろう。
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